止まらぬ不祥事、
再び問われる日本郵便の「企業体質」
下請法違反勧告に見る根深き問題

2025年07月19日

近年、その公共性と信頼性への揺らぎが度々指摘されている日本郵便。記憶に新しいところでは、2025年6月には不適切な点呼業務により一般貨物自動車運送事業の許可取り消しという厳しい行政処分を受け、その経営体制に厳しい目が向けられました。

こうした状況下、2025年1月には、公正取引委員会が2024年6月に日本郵便に対して行った2つの下請法違反での行政指導が明らかになり、過去から続く「下請けいじめ」の企業体質が再びクローズアップされています。行政指導自体は前年に実施されていたものですが、このタイミングで公になったことで、日本郵便の経営問題の根深さが改めて浮き彫りになったと言えるでしょう。

2024年の2つの下請法違反行政指導

今回明らかになった2024年6月の行政指導は、実は2つの異なる違反行為に対するものでした。

一つ目は、ゆうパックの配達を委託している下請事業者に対し、日本郵便が不当に違約金を徴収していた行為が下請法違反(不当な経済上の利益の提供要請)に当たると判断されたものです。関東地方の郵便局では、誤配達1件につき5千円、たばこ臭のクレーム1件につき1万円といった違約金を設定していましたが、一部の郵便局では1件数万円という高額な違約金を設定し、業者側に十分な説明もしていなかったといいます。

二つ目は、運送委託料の「買いたたき」問題です。下請け運送業者からの燃料費高騰等を理由とした運賃引き上げ要請に対し、十分な協議を行わずに据え置いたり、適切な価格転嫁に応じなかったりする事例が確認され、下請法違反(買いたたき)に該当する恐れがあるとして指導を受けました。

これらの事例から浮かび上がるのは、日本郵便がその強大な規模と公共性の高さを背景に、取引先である中小事業者に対し、不当な圧力をかけたり、一方的な要求を押し付けたりする傾向が長年存在しているのではないかという当然の疑惑です。

2023年から続く価格転嫁問題の根深さ

実は、日本郵便の価格転嫁問題については、2024年の行政指導より前から深刻な問題として指摘されていました。2023年2月に中小企業庁が公表した中小企業との価格交渉や転嫁の状況に関する調査結果では、価格転嫁の項目で日本郵便は4段階で最低評価を受けていました。

この調査結果を受けて、日本郵便は2023年4月に改善を表明していたにもかかわらず、委託料の引き上げ要請に対し協議せずに据え置いたり、据え置く理由を文書やメールで回答しなかったりするなどの問題が続いていたことが、2024年の行政指導につながったのです。

つまり、日本郵便は2023年に中小企業庁から最低評価を受け、改善を約束したにもかかわらず、その後も同様の問題を続けていたということになります。これは、同社の企業体質に根深い課題があることを如実に示しています。

繰り返される不祥事と企業体質の問題

日本郵便が行政指導を受けるのは、残念ながら初めてのことではありません。過去にも様々な問題が表面化しており、その企業体質に根深い課題があることを示しています。

2019年から発覚したかんぽ生命保険の不正販売問題も、日本郵便が行政処分を受けた重大な問題です。
この問題では、顧客に不利益となる保険の乗り換えを勧めたり、顧客の意向に反した契約を結ばせたりする不適切な販売が横行していました。金融庁から業務停止命令を受け、約18万件もの契約に問題があったとして大きな社会問題となりました。

また、郵便物の配達遅延や誤配など基本業務に関するトラブルが継続的に発生しており、2025年には運転者への点呼義務違反など複数の法令違反が確認されたことから、運送事業の許可が取り消される処分を受けています。

企業体質に潜む根深い課題と、求められる抜本的改革

これら度重なる不祥事は、日本郵便の企業体質に根深い課題があることを浮き彫りにしています。

1. 「お上意識」と優越的地位の濫用
旧国営企業としての歴史を持つ日本郵便には、組織全体に「お上」意識が根強く残っているのではないか、という指摘があります。取引先を下に見る傾向や、自社の都合を優先し、優越的な地位を利用して下請事業者へのしわ寄せを容認してしまう体質が、改善されない要因となっている可能性は否めません。

2. 現場への過度なプレッシャーとコンプライアンス意識の欠如
かんぽ生命の不正販売問題でも見られたように、過度な営業目標や業績プレッシャーが現場のコンプライアンス意識を麻痺させ、不適切な行為に走らせる土壌が存在します。今回の違約金徴収問題も、現場の運用に任せきりで、適切なガバナンスが機能していなかったことが背景にあると考えられます。

3. 改善意識の欠如と問題の継続
最も深刻なのは、2023年に中小企業庁から最低評価を受け、改善を約束したにもかかわらず、その後も同様の問題を続けていたことです。これは単なる認識不足ではなく、根本的な改善意識の欠如を示しており、組織として真摯に問題と向き合う姿勢が不足していることを物語っています。

4. 閉鎖的な組織文化と問題の隠蔽体質
問題が組織内で適切に認識され、是正される仕組みが十分に機能していない可能性も指摘されます。下請事業者が不当な要求を受けても、今後の取引への影響を懸念して声を上げにくい状況にあることも、問題が表面化しにくい要因です。風通しの良い組織文化の醸成は、再発防止の鍵となるでしょう。

日本郵便は、私たちの社会インフラを支える重要な存在であり、その信頼は国民生活に直結します。だからこそ、その企業活動は常に公正かつ透明でなければなりません。2025年に入って運送事業許可取り消しという重い処分を受け、さらに過去の下請法違反行政指導も明るみに出た今、日本郵便には根本的な体質改善への強い決意と行動が求められています。私たち利用者も、その変化を厳しく見守っていく必要があるでしょう。

日本郵便から不当な対応を受けていると感じる下請け企業の皆様へ。

今回の記事で述べたように、日本郵便は過去にも度々、下請法違反などの問題が指摘されてきました。もしかしたら、あなた方も同様の不当な扱いを受けているのではないでしょうか。
真実を公表することで、他の企業が日本郵便との取引を検討する際に注意を促し、不利益を被るケースを減らせるかもしれません。

ぜひ、以下のリンクから日本郵便への評価とコメントを投稿し、皆様の経験を共有してください。それが、公正な取引環境を作るための一歩となります。
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