令和7年9月8日、家電量販大手の株式会社ヨドバシカメラが、公正取引委員会(公取委)から下請代金支払遅延等防止法(下請法)違反で勧告を受けました。
日本を代表する大企業による法令違反として、その内容と今後の影響について詳しく見ていきましょう。
勧告の背景:1,349万円の「協賛金」とは
今回の勧告のポイントは、「下請代金の減額の禁止」を定めた下請法第4条第1項第3号に違反した点です。
ヨドバシカメラは、自社のプライベートブランド(PB)製品の製造などを委託していた下請事業者6社に対し、「協賛金」や「リベート」などの名目で、本来支払うべき代金から総額1,349万2,930円を差し引いていました。
下請法では、下請事業者の責めに帰すべき理由がないにもかかわらず、親事業者が代金を減額することは一切禁止されています。「協賛金」という名目であっても、実質的に代金から差し引く行為は不当な減額と見なされ、違法となります。
親事業者の立場が強いことを背景に、中小企業である下請事業者に不利益を押し付ける行為を防止するための、下請法の重要な規定を侵害したことになります。
ヨドバシカメラの対応と再発防止策
公取委による勧告を受け、ヨドバシカメラは以下の対応を速やかに行いました。
1. 全額の支払い
減額に該当すると判断された総額1,349万2,930円を、既に下請事業者6社に支払い済(勧告前の8月22日付)。
2. 協賛金の廃止
法令に抵触する恐れのある協賛金等の受け取りを全面的に廃止する方針を表明。
3. 社内体制の整備
今後、下請法違反行為を行わないよう、役員及び従業員への周知徹底や、発注担当者に対する下請法研修を行うなど、社内体制の整備と再発防止策を講じるとしています。
まとめ:業界全体に問われるコンプライアンス意識
今回のヨドバシカメラへの勧告は、家電量販業界に広がる商慣行の闇を改めて浮き彫りにしました。近年、ビックカメラやノジマといった大手家電量販店も同様に下請法違反で勧告を受けており、業界全体としてコンプライアンス意識、特に取引の公正性を確保するための意識向上が急務となっています。
企業が成長し、下請事業者と共に健全なサプライチェーンを築くためには、表面的な合意ではなく、法令に基づく公正で透明性の高い取引慣行の確立が不可欠です。この勧告は、大手企業に対し、改めて下請法遵守の徹底を求める強いメッセージと言えるでしょう。
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